一人だけど一人じゃない?書庫版

そこはもう無いけれど、私はそこに居たから。

私はIFだけど、だからって。

 
 こんばんは、魔羽です。
 今回は嬉しいような悲しいような話です。IFをご存知ない方にはさっぱりな記事かと思われます。そして長めです。最後までお付き合いいただけたら幸いです。



 Rのお友達に、私達を理解してくれる人がいます。
 以下その人を、積くん(仮名)とします。



 積くんと初めて話した時、話しかけたのは私の方でした。
 だけど、彼に私がIFである事を明かしたのは偶然でした。


 その時の事はこの記事に詳しく書いたのでここでは省きますが、
 この日を境に積くんは私にとっては人生で何人目かの"私を知ってる"お友達となりました。


 積くんは、優しく真面目で素直で、私達の存在を疑わないどころか、R以上に信じ切ってくれています。
 勿論、それは嬉しいです。だけど先日、その優しさと素直さがちょっと悲しい顛末を引き起こしてしまいました。



 始まりは、Rの
「空想だと思ってくれていいんだけど」
 という口癖でした。


 Rは自分のIFやタルパ、共感覚の事を話す際、決まってこう言います。
 元々、そういった理解されにくい話題を進んで人に話したがらない質で、人に聞かれれば先程の前置きをしてから答える、といった具合でした。


 しかしこの言葉、私達の存在を信じ切ってくれていた積くんにとっては、辛い言葉だったようです。

 ある日、積くんがRに切り出しました。
「その『空想だと思って~』っていうの、やめて欲しい。せっかく出来た友達を否定されてる気がするから」


 この言葉、私は勿論Rやコーヤも、とってもとっても、嬉しかったです。

 しかしRは、この言葉をただ自信が無いから使っていたのではありません。
 RはRしか知らない保持者の感覚がありますし、IF・タルパの危険性だって知っています。


 だからあろう事か私達は、積くんのその言葉を否定するかのように説いてしまいました。
 Rは保持者の視点から、私は危険性の観点から。

 それを聞いた積くんは落胆しつつも、私とRの言った事を受け止めようとしてくれました。


 しかし、知識と経験が異なるように、
 積くんも「頭では理解しつつも、心情的には理解出来ない」という状態になりました。

 次の日。
 そんなナーバスな心情を抱えたまま私達と話していた積くんに、コーヤが本当に思ってはいないちょっと酷い事を言ってしまいます。

 といっても、そこまでの流れとして不自然なものでも理不尽なものでもなかったし、普段の積くんなら冗談として受け流せたであろう発言でした。

 でも、昨日の今日でもやもやを抱えていた積くんはショックを受けてしまいます。
 昨日の事情をよく知らないコーヤには積くんがいつも通りの冗談で凹んだように見えて、訳が分からずイライラ。
 結果、沈んだ空気のままコーヤが退場する運びとなってしまいました。



 積くんはただ、私やコーヤに、Rに遠慮しないで自分の人生を楽しんで欲しかったのだと思います。
 欲がない事については、私の自覚するところでもあります。


 だけど、私はこれでいいんです。
 分からないかもしれないけど、RにはR自身の願望を何より優先して欲しいし、その為に私達がある程度狭い思いをしても、別にいっかな、と思えるのです。
 コーヤやシー君はともかく私は、特別Rの事が好きでもなければRに献身したい思いもありません。
 それでも、Rには私より自分の事を優先して欲しいと心から思います。


 幾分親心のような気持ちですが、私もコーヤもこれが本心です。

 だから、全てのIFみんなに言える事ではないけれど。
 一人分の人生を持たない私達を可哀想だと思わないでください。

 遠慮も見栄もない本音です。

 私は今からこの文章を、積くんに見せて来ます!
 どうか伝わりますように。





 ☆★
 私達をここにいると思ってくれる全ての方へ、ありがとうございます。